関西支部(大阪)国際交流
絆を築き上げること(国際交流感想文)
羅婧煒(大阪大学留学生)
「加藤裕之(ビプロジー)と交流」
最初に三井V-Netに参加しようと思ったきっかけは、「空いている時間を有意義に過ごし、ついでに関西を観光したい」という軽い気持ちからでした。当時の私は、岡山から大阪に引っ越してきたばかりで、知り合いもおらず、どこへ行けばよいのかも分からない状況。期待を胸に関西に来たものの、ゼロからの新生活に不安と孤独を感じていました。
そんな時に出会ったのが、加藤さんでした。
加藤さんは、優秀で博識、そして多くの人から尊敬される方です。初めてお会いした際、ご自身の経歴を見せてくださり、様々な経験をされていること知りました。私は心から尊敬の念を抱くと同時に、「こんなに優秀な、しかも年上の異国の方と交流してもいいのだろうか」と不安にもなりました。
しかし、そんな不安はすぐに消えました。加藤さんの温かく寛大なお人柄が、すべてを包み込んでくれたのです。
この一年余りの間に、私たちは一緒に落語を観て笑い合い、三十三間堂で古代職人の卓越した技術に感嘆し、比叡山から琵琶湖を眺め、瑠璃光院では初秋の紅葉を楽しみました。関西の息を呑むような絶景を共に味わう中で、中日両国の文化の違いについても多くの気づきを得ました。
たとえば、ある日「銀行」について話していたときのこと。
「“日本銀行”という名称に国名が使われていると知ったのは、今回が初めてでした。“BANK OF BANK(銀行の銀行)”と呼ばれるのも、まさに特別な存在ですね。」
「一方で、私が岡山に住んでいた頃、同じく国名を冠した“中国銀行”(中国地方の地方銀行)があり、それを中国の中央銀行(中国人民銀行)、つまり“BANK OF BANK(銀行の銀行)”だと勘違いしていた日本人の方がいました。」
こうした話題に触れられることこそ、国際交流の醍醐味だと感じます。けれども、それだけにとどまりません。
加藤さんは、まるで橋のような存在です。異なる人々を温かくつなぎ、一つのネットワークに導いてくれる方です。
加藤さんを通じて、私はプロジェクトメンバーだった頼藤さんという女性とも出会いました。彼女とは多くの点で共鳴しました。
私たちは共に一人っ子であり、母親との関係が深いです。彼女の母親への深い愛情と尊敬の念は、私自身の思いとも重なりました。また、私たちは共に、女性の社会進出や発展に強い関心を持っています。私は人権とジェンダーについて研究しており、女性が直面する社会的困難について語り合う中で、彼女は常に独自の視点を示してくれました。
彼女は、私の人生のロールモデルであり、理想の女性像です。
私にとって大阪での生活は、まさにゼロからのスタートでした。
しかし加藤さんのおかげで、たくさんのかけがえのない思い出と、大切なご縁を得ることができました。これらは私とこの土地との絆であり、留学生である私にも、ここに“根”があると胸を張って言うことができます。
それこそが、私にとって最も貴重な収穫です。
今年の三月からは就職活動を始めました。毎日のように「お祈り」が続き、自信を失い、自己否定に陥る日々もありました。そんな私を支えてくれたのは、人生の先輩であるお二人の知見と、数え切れないほどの励ましの言葉でした。
そして最終的に、私は良い結果を得ることができました。
帰路の新幹線で夕暮れに染まる富士山を眺めながら、加藤さんがくださった言葉を思い出しました。
「人間到る処に青山あり」
ゼロから大阪に来て、大切な絆を築き、かけがえのない思い出を得た——まさにこの言葉を体現した私自身の姿がそこにありました。
これからの人生でも、きっと自分の“青山”を見つけていけると信じています。
人生の“青山”と、かけがえのない絆を授けてくださったこと。
それこそが、私が国際交流を通じて得た、最大の宝物です。

「奈良 今西家書院にて 左から加藤さん、筆者羅さん、頼藤さん」
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